ヤラ・バレーで過ごす3日間
オーストラリアはビーチだけだと思っていませんか?そんなことはありません。ビクトリア州にある絵のように美しいヤラ・バレーまで内陸をドライブ旅行して、道中、極上の地元産ワイン、チョコレート、アートを楽しみながら、オーストラリアの秘められた魅力を探りましょう。
原文:アリッサ・ジェンキンス
この五感を刺激するドライブ旅行は、メルボルンを出発するとすぐ、オーストラリアの象徴ともいえるビーチを離れ、魅力的な田園地帯へと入ります。農園やビクトリア州でも有数のワイナリーを通り過ぎて曲がりくねった道を進むと、森と滝に囲まれたメリーズビル(Marysville)に到着します。
見どころ
- ビクトリア州の一流ワイナリーに立ち寄る
- 熱気球のサンライズ・フライトに参加する
- オーストラリアの野生動物を間近で見る
基本データ
- 日数:3日間
- 距離:150km
- 移動手段:車
- 最寄りの主要都市:メルボルン
- 料金:$$$$
1日目:メルボルンからオリンダへ
午前
メルボルンを出発して東へ向かい、M1ハイウェイとマウント・ダンデノン・ツーリスト・ロード(Mt Dandenong Tourist Road)を1時間ほど走ると、高山地域にある魅力的な村、オリンダ(Olinda)に到着します。ダンデノン丘陵の高地に佇むオリンダは、季節ごとに姿を変える印象的なガーデンで知られています。数千本ものシャクナゲ、ツツジ、ツバキ、ラッパスイセンが咲きほこるダンデノン丘陵植物園(Dandenong Ranges Botanic Garden)をゆっくり散歩しましょう。ウィリアム・リッケッツ・サンクチュアリ(William Ricketts Sanctuary)を訪れ、木々の間に隠れるように建つ魅力的な彫刻を鑑賞するのもよいでしょう。その後は、村の中心部にあるオンリー・マイン・チョコレート・ファクトリー(Only Mine Chocolate Factory)のスイーツで至福のひとときを過ごしましょう。この店ではショコラティエの職人技を間近に見ることもできます。少し足を延ばせるなら、隣町のサッサフラス(Sassafras)を訪れ、アガサ・クリスティの小説に着想を得た英国チューダー様式のコテージで営業する、趣のあるミス・マープルズ・ティールーム(Miss Marple's Tearoom)でデボンシャー・ティーをいただくのもよいでしょう。
午後
午後は、サッサフラスにいくつもあるアンティーク・ショップや専門店を見て回りましょう。オリンダに戻り、地元のアート・ギャラリーやアート・スタジオをめぐるのもよいでしょう。タッチストーン・クラフト・ギャラリー(Touchstone Craft Gallery)には、250人を超えるオーストラリア人アーティストの作品が並んでいます。子ども連れなら、近くにあるゼペットズ・ワークショップ(Geppetto’s Workshop)がおすすめです。木製のおもちゃや人形、ゲーム、パズルが所狭しと陳列されています。
宿泊は、ザ・ロフト・イン・ザ・ミル(The Loft in the Mill)がおすすめです。ここは19世紀の英国の製粉工場を模した受賞歴のあるブルーストーン造りのブティック・ホテルで、広々とした客室が9室あり、それぞれに暖炉と2つのスパ・バスが付いています。
2日目:オリンダからヒールズビルへ
午前
今日は忘れられない瞬間が多くなるので、カメラを持っていきましょう。最初に、オリンダの北40kmにある野生動物公園、ヒールズビル自然保護区(Healesville Sanctuary)を訪れます。200種を超える固有の動物や野鳥が棲み、あまり姿を現さないカモノハシや気性の荒いタスマニアン・デビルに出会えます。木の上に造られたボードウォークからコアラを見ることもできます。
午後
タラワラ美術館(TarraWarra Museum of Art)で地元のアートとワインを同時に味わいましょう。この美術館では、受賞歴のあるピノ・ノワールやシャルドネを飲みながら、季節ごとに変わる現代アートを鑑賞できます。ヒールズビルの周辺に数多くある評判の高いワインセラーをめぐってワインテイスティングを続けましょう。そうしたワインセラーの1つ、ドメイン・シャンドン(Domaine Chandon)は、冷涼性気候スパークリング・ワインで知られています。ここでは、ワイン生産者に会い、醸造所の中を見学して、フランスのシャンパンの歴史とオーストラリア人の知恵がどう協調しているかを学ぶことができます。
地元を代表するワイン生産者には、印象的なレストランと素晴らしいワインセラーを持つオークリッジ・ワインズ(Oakridge Wines)とジャイアント・ステップス(Giant Steps)や、この2軒よりも現代的なイノセント・バイスタンダー(Innocent Bystander)などもあります。スピリッツの方が好きな人は、フォー・ピラーズ蒸留所(Four Pillars Distillery)を訪れ、世界的に評価の高いジンを試飲してみてはいかがでしょう。
甘いものに目がないという方は、ヤラ・バレー・チョコレタリー(Yarra Valley Chocolaterie)でスイーツ欲を満たしましょう。この店では、ヨーロッパのショコラティエがさまざまなチョコレート菓子を生み出す様子を見学でき、無料で試食することもできます。
ディナーには、シャトー・イェリング・ホテル(Chateau Yering Hotel)のエレノアズ・レストラン(Eleonore’s Restaurant)を予約し、現代的な高級オーストラリア料理を地元産のワインと一緒に味わいましょう。一番の醍醐味は、伝統的な農場主の邸宅を改装した5つ星ホテルに宿泊できることです。スイートが32室あり、どの部屋からも250エーカーの庭園と壮大な渓谷の景色を一望できます。
3日目:ヒールズビルからメリーズビルへ
午前
最終日は、最高の1日となるように熱気球のサンライズ・フライトでスタートし、この旅で訪れたブドウ園、農場、森が織りなすパッチワークのような風景を空から見渡しましょう。ヤラ・バレーの壮大な景色を堪能したら、地上に戻り、バルゴウニー・エステート・ヴィンヤード(Balgownie Estate Vineyard)で、地元の高級食材を使ったシャンパン・ブレックファストを楽しみましょう。
朝食の後は、農園や食品製造所が点在するヤラ・グレン(Yarra Glen)を訪ねてみましょう。オーストラリア最古の入植地で、毎月第1木曜日に一般公開されているガルフ・ステーション(Gulf Station)では、この地域の農業の歴史に触れることができます。ここでは、農作業に使われる馬、羊の毛刈り、伝統的な撹乳器で作られたバター、電動工具を使用しない大工仕事を見学できます。遺産登録されているヤラ・バレー・グランド・ホテル(Yarra Valley Grand Hotel)に立ち寄り、ボリュームたっぷりのランチを楽しんだ後は、ヤラ・バレー・デイリー(Yarra Valley Dairy)の牛乳とヤギ乳を使った職人の手によるフレッシュ・チーズを買ってみましょう。
午後
車で北西へ向かい、美しい景色を眺めながらメリーズビル(Marysville)まで1時間ほどのドライブを楽しみましょう。この町の周囲には、迫力のある滝、緑豊かな森、そして人気の高いウォーキング・トレイルがいくつもあります。特に人気なのは4kmに及ぶカンバーランド・ウォーク(Cumberland Walk)で、この地域の金鉱と林業の歴史を垣間見ることができます。ドライブの途中で、「ビッグ・ツリー」と呼ばれる巨木に出会えます。これは樹齢400年、高さ85mのユーカリです。この地域のもう1つの見どころは、落差84mを誇り、ビクトリア州で最も高い滝の1つであるスティーブンソン・フォールズ(Steavenson Falls)です。
滝を見た後は、サラディン・ロッジ(Saladin Lodge)でくつろぎましょう。この静かな山荘は、湖に面した68エーカーの敷地に建つ、長い歴史がありながら現代的な雰囲気のある宿泊施設で、ゲスト・ライブラリーと暖炉を完備しています。