グレート・サザン・ツーリング・ルートを巡る6日間
アボリジナルピープルの歴史を通り抜けて輝くスパ・カントリーまで、ビクトリア州の目を見張るような南の海岸線をドライブしましょう。そこには、自然と育む心、そして驚きが満ち溢れています。
原文:シェリル・アレン
南極海からグランピアンズ国立公園(Grampians National Park)のそびえ立つ絶壁まで、多様な自然の風景の中を旅しましょう。見応えのある観光スポットをチェックするのも、ささやかな発見をするのもすべてあなた次第。
草むらに潜む野生動物との出会い、波しぶきを上げるクジラ、ブーメラン投げ、太古のドリームタイムの研究。たくさんの発見がそこにはあります。そして、ミネラル温泉、新鮮なシーフード、受賞ワインなど、大地と海からの贈り物を堪能しましょう。
見どころ
- グレート・オーシャン・ロードで世界で最も象徴的な海岸線のひとつをドライブする
- グランピアンズの風景とその中心にある太古の文化を探索する
- ソブリン・ヒル野外博物館で、1850年代のゴールドラッシュ時代を体験する
基本データ
- 日数:6日間
- 距離:846km
- 移動手段:車
- 最寄りの主要都市:メルボルン
- 料金:$$
1日目:メルボルンからアングルシー
午前
さあ、都会を抜け出す時間です。ハイウェイ・ワン(Highway One)を西へ30分のウェリビー・オープン・レンジ・ズー(Werribee Open Range Zoo)に向かいましょう。1~2時間ほどぶらぶらして、ゴリラやライオン、カバ、小生意気なミーアキャットなどの動物たちを眺めましょう。オープンカーのサファリトラックでオフロードに出て、草原で、これまでにないほどキリンやサイ、シマウマのすぐそばまで近寄ってみてください。さて、再び車に乗り込み30分ほど行けば、活気ある入江の町ジーロング(Geelong)に到着です。国立ウール博物館(National Wool Museum)で時代を超えた物語に触れた後は、カフェ・ナラナ(Café Narana)でアボリジナル文化の影響を受けた美味しい食事をしましょう。あるいは、ベラリン半島(Bellarine Peninsula)に真っすぐ向かい、そこにあるワイナリーの数々を訪ねてみるのもいいでしょう。ジャック・ラビット・ヴィンヤード(Jack Rabbit Vineyard)の席が空いているか確認してみてください。広大な入江の眺めに気を取られずに、まずは地産の食材と冷涼性気候ワインで溢れんばかりのランチメニューをしっかりチェックしましょう。
午後
オーストラリアのサーフィン文化誕生の地、サーフ・コースト(Surf Coast)のトーキー(Torquay)を歩いてみましょう。この辺りの象徴となるベルズ・ビーチ(Bells Beach)の崖の上に立ってみてください。ここでは、世界中のプロサーファーが集まるリップ・カール・プロ・イースター・クラシック(Rip Curl Pro Easter Classic)が毎年開催されます。そして階段を降りたら、砂と波につま先をすべり込ませてみましょう。オーストラリアン・ナショナル・サーフィン・ミュージアム(Australian National Surfing Museum)に行き、サーフィンの歴史に飛び込みましょう。この地発祥のサーフィンブランド、クイックシルバー(Quiksilver)とリップ・カール(Rip Curl)のアウトレットショップもあるのでのぞいてみてください。ここから正式にグレート・オーシャン・ロード(Great Ocean Road)に入っていきます。まずは海岸線に沿ってアングルシー(Anglesea)へ向かいます。アングルシー・ゴルフ・クラブ(Anglesea Golf Club)でユニークなディナー体験をしてみてはいかがでしょう。美味しいビストロメニューをいただきながら、すぐそばのフェアウェイでカンガルーが草を食べるのを眺めます。今夜はグレート・オーシャン・ロード・リゾート(Great Ocean Road Resort)のスパ・スイートでリラックスして、のんびり身体を休めてください。
2日目:アングルシーからワーナンブールとポート・フェアリーへ
午前
早起きをして朝ご飯の前にアングルシー川のほとりを散歩して体をほぐしましょう。準備が整ったら、世界で最も忘れがたいドライブのコースのひとつ、グレート・オーシャン・ロードへと出発です。本日のメニューは、金色に輝くビーチ、そびえ立つ断崖、巨大な岩石層、ランドマークとなる灯台、ムード溢れる雨林、そして魅力ある村。これらすべて回ります。まずはメモリアル・アーチ(Memorial Arch)で車を停め、この道が誰の手によりなぜ作られたのかを知りましょう。約40分、素晴らしい海岸線のドライブを堪能したら、お店や流行のカフェが建ち並ぶ、ビーチリゾートの雰囲気溢れるローン(Lorne)の街に到着です。ここのサーフビーチはとても魅力的。少し時間をとって、波打ち際に座って打ち寄せる波を眺めましょう。あるいは、内陸部の雨林に進路を変え、オトウェイ・フライ・ツリートップ・アドベンチャー(Otway Fly Treetop Adventures)に行き、林冠の間をジップラインで思い切って駆け抜ける冒険を楽しんでみてもいいでしょう。ケネット・リバー(Kennett River)で野生のコアラを発見したら、アポロ・ベイ(Apollo Bay)に向かいます。ここでランチタイム。クリスズ・レストラン(Chris’s Restaurant)で美しい入り江の景色を眺めながら地元で採れた食材を使った料理をいただきます。
午後
ケープ・オトウェイ灯台(Cape Otway Lightstation)に寄り道するのがおすすめです。らせん階段の上まで登ったら、灯台管理人に会い、広大な南極海を間近に見ましょう。カメラをお手元にお忘れなく。次はいよいよあの有名な12使徒(12 Apostles)です。展望台から息をのむような眺めをたっぷり味わいましょう。あるいは、ヘリコプターから、風光明媚な海岸線の全景を上空から眺めることもできます。道すがら、ロック・アード・ゴージ(Loch Ard Gorge)の不気味さやベイ・オブ・アイランズ(Bay of Islands)の吹きさらしの美しさなど、いたるところで繰り広げられる自然のドラマを眺めてみてください。そして、フラッグスタッフ・ヒル・マリタイム・ビレッジ(Flagstaff Hill Maritime Village)の光と音の海のショーに間に合うように、ワーナンブール(Warrnambool)に到着しましょう。今夜はここで一泊。レディ・ベイ・リゾート(Lady Bay Resort)でゆっくり休んでください。あるいは、素敵な漁村のポート・フェアリー(Port Fairy)に行きましょう。歴史あるメリリッジ・イン(Merrijig Inn)に早めに予約を入れて、屋根裏部屋を確保しましょう。メリリッジ・キッチン(Merrijig Kitchen)にゆったり座り、熟練した生産者や農家などから調達した食材を使った季節の味を楽しみましょう。
3日目:グレート・オーシャン・ロードからグランピアンズへ
午前
受賞歴もある5.7kmのワーナンブールの海辺のプロムナードをゆっくり歩いて、1日を始めましょう。ローガンズ・ビーチ(Logans Beach)からは、6月から9月にかけて、運が良ければクジラを見ることができます。西部地区の肥沃な農地を抜けて北へ90分ほどドライブしたら、グランピアンズ国立公園の南端に到着します。地元の文化に触れるなら、ハミルトン・ギャラリー(Hamilton Gallery)に寄り道して多彩な芸術作品のコレクションを鑑賞しましょう。その帰りにピエールポイント・ワイナリー(Pierrepoint Wines)にも寄って、ピノノワールの味見をしましょう。そのあとは、ダンケルド(Dunkeld)のパーカー・ストリート・プロジェクト(Parker Street Project)で早めのランチです。空のほとんどを覆うようなグランピアンズの絶壁には思わずひるんでしまいそうです。その向こうにあるものはわずかに見えるばかり。長い間ガリワード(Gariwerd)と呼ばれていた太古の景観に惹かれていくでしょう。ホールズ・ギャップ(Halls Gap)のブラムバック(Brambuk)にある国立公園やカルチャー・センターで、地元のアボリジナルピープルの遺跡についてもっと理解を深めましょう。ブーメラン投げの実演やディジュリドゥのワークショップ、古い壁画跡巡りなどをぜひ体験してみてください。
午後
靴の紐をしっかり結び、グランピアンズ・ピーク・トレイル(Grampians Peaks Trail)のブッシュウォーキングに出かけましょう。よく目を光らせて野生動物を探すのをお忘れなく。高台からの眺めや自然の景観を楽しんでください。グランピアンズで必見の場所は、ボロカ展望台(Boroka Lookout)、リーズ展望台(Reeds Lookout)、ザ・バルコニーズ(The Balconies)、そしてマッケンジー滝(Mackenzie Falls)。数百キロにも及ぶたくさんのトラックやトレイルが縦横無尽に走る公園内には、思いにふける静かな場所が簡単に見つかります。ズムスタイン(Zumsteins)ピクニックエリアは午後のおやつタイムに最適な場所です。放牧されているカンガルーやよたよたと歩くハリモグラ、真似っこ上手なコトドリたちと一緒に孤独な静かな時間を楽しみましょう。自然の世界から活力をもらったら、ホールズ・ギャップのスーパーマーケットで夕食の食材を探しましょう。今夜はオージー・アウトバック・スタイルの「グランピング」を体験します。ホールズ・ギャップ・レイクサイド・ツーリスト・パーク(Halls Gap Lakeside Tourist Park)で、クイーンサイズのベッドが収容できるベルテントで過ごしてください。バーベキューをたくさん作って食べたら、夜のとばりが静かに下りていく中で、パチパチと燃えるキャンプファイヤを囲んでくつろぎましょう。
4日目:グランピアンズからバララットへ
午前
北東へ向かってアララト(Ararat)に入ります。ブティック・ワイナリーから主要ブランドまで数多くのブドウ園が点在する、受賞ワインの産地です。途中、セラードアや、フォーレン・ジャイアンツ(Fallen Giants)やグランピアン・エステート(Grampians Estate)などのワインメーカーに立ち寄って試飲をしましょう。マウント・ランギ・ギーラン・ヴィンヤード(Mount Langi Ghiran vineyard)では、ヴィーガン対応のシラーズと素晴らしい景色が味わえます。アララトでは、ガム・サン・チャイニーズ・ヘリテージ・センター(Gum San Chinese Heritage Centre)で、中国人移民の魅力的な歴史に浸りましょう。そこから50分走ると、ピレネーズ(Pyrenees)ワイン産地のゲートウェイとなる大きな田舎町、アヴォカ(Avoca)です。ブルー・ピレネーズ・エステート(Blue Pyrenees Estate)でのランチは思い出深いものとなるでしょう。ここで育った極上のシラーズと新鮮な地産の食材を堪能しましょう。
午後
バララット(Ballarat)のソブリン・ヒル(Sovereign Hill)は、ゴールドラッシュの歴史で活気づく町です。金鉱地帯を再現した広大な野外博物館を訪れると、1850年代にタイムスリップするようです。金の採取体験や地下の金鉱山ツアー、メインストリートで荷馬車に乗ったり、店頭で売る昔ながらのロリポップやキャンディを眺めたり、ここでは様々な体験ができます。にっこり笑って一緒に写真を撮ってくれる、当時の人々の衣装を着た本日のキャラクターも探してみてください。ディナーも、引き続き歴史をテーマにした雰囲気で楽しんでください。1865年創業のバララットを代表するブティックホテル、クレイグス・ロイヤル・ホテル(Craig’s Royal Hotel)に行きましょう。騒がしいクレイグス・ワイン・バー(Craig’s Wine Bar)のアームチェアに滑り込み、カクテルとハムの盛り合わせを注文し、過ぎし日の豪奢なムードに酔いしれましょう。クレイグス・ロイヤル・スイート(Craig's Royal Suites)の居心地のよい客室か、ブティック・ホテルであるプロビンシャル・ホテル(The Provincial Hotel)のどちらで夜を過ごすかは、あなた次第です。
5日目:バララットからスパ・カントリーへ
午前
朝食をテイクアウトして、バララット・ワイルドライフ・パーク(Ballarat Wildlife Park)に行きましょう。野生動物との出会いから1日を始めます。ここには100頭ものカンガルーが放牧されています。一匹や二匹、きっとすぐ近くまで寄ってくるでしょう。他にも、コアラやウォンバット、爬虫類などその他たくさんの動物たちも見てみましょう。そのあとは、神聖なバララット美術館(Art Gallery of Ballarat)もぜひ訪れてみてください。文化体験を終えたら、デイルスフォード(Daylesford)に向かい、オーストラリアのプレミアム・スパ・カントリーで真の贅沢を味わいましょう。途中でクレスウィック・ウーリン・ミルズ(Creswick Woollen Mills)に立ち寄ります。ここでは、アルパカの背中から店の棚に並ぶ毛糸玉まで、ありとあらゆる毛織物の物語を感じてみてください。ランチは、完璧な植物園の上に建つウォンバット・ヒル・ハウス・カフェ(Wombat Hill House Café)で軽く済ませましょう。
午後
この地域は、表面に泡が自然にできる身体に優しいミネラル温泉で有名です。マッサージやエステ、トリートメントも必ず試してみてください。ペッパーズ・ミネラル・スプリングス・スパ(Peppers Mineral Springs Spa)で地元の美容健康法や若返り体験を試してみましょう。この地域は保養地なので、さまざまなタイプの宿泊施設があります。洗練された隠れ家ならレイク・ハウス(Lake House)がおすすめです。2.4ヘクタールの庭園の中には、テニスコートがあり、アーティストも在住しています。季節ごとの地元の新鮮な素材だけを使う、名高いレストランもあります。
6日目:スパ・カントリーからメルボルンへ
午前
スパ・カントリーでは、様々な方法で贅沢に過ごしましょう。レイク・ハウス・クッキング・スクール(Lake House Cooking School)のマスタークラスで、グルメの腕を磨きましょう。デイルスフォードのメインストリートで、チョコレート専門店や古本屋、古着屋、ブティック、特筆すべきバリスタのいるコーヒーショップなどをのぞいてみましょう。日曜日には、地元のクラフトや農産物であふれる、変わった雰囲気のマーケットもお見逃しなく。とびっきりの品でお腹(と車のトランク)を満たしましょう。
午後
メルボルンへ戻る途中、トレンタム(Trentham)を経由します。レッド・ビアード・ベーカリー(Red Beard Bakery)に寄って絶品のコーヒーやペストリーを買いましょう。サワードウブレッドのパン作り教室もあります。そして、ウッドエンド(Woodend)からマウント・マセドン(Mount Macedon)まで足を延ばし、1日を思い切り楽しみましょう。頂上までドライブして、緑豊かな個人庭園を過ぎ、きらびやかなメルボルンの郊外や街の風景に戻ってきましょう。